◆ 令和2年都道府県地価調査9/29公表
コロナ禍の影響という名の下、都道府県地価調査が例年より10日ほど遅れて公表されました。
都道府県地価調査は、7月1日現在の地価を都道府県が公表するものであり、1月1日現在の地価を国土交通省が公表する地価公示を補完するものです。
それによると、全般の地価動向としては、これまでの回復傾向から変化し、全国全用途平均の変動率は▲0.6%下落と、3年ぶりに下落に転じました。用途別では、住宅地▲0.7%、商業地▲0.3%、工業地0.2%と、住宅地は下落幅が拡大し、商業地は5年ぶりに下落に転じ、工業地は3年連続の上昇であるものの上昇幅が縮小しています。
この1年間のうち前半(令和元年7月1日~令和2年1月1日)は、回復傾向が継続し、後半(令和2年1月1日~令和2年7月1日)は、コロナ禍の影響による先行き不透明感から需要が弱まり、総じて上昇幅の縮小、上昇から横ばい又は下落への転化となったとされています。
皆さんの目にはどう映りますか?
◆ 実態はどうでしょう?
物件タイプ、地域によりけり、というのが現場の感覚ではないでしょうか?
戸建て(用地含む)など実需の住居系は、一部に底値買いを期待する向きがあったものの、あまり変わらず、むしろ好調といったところでしょう。
収益物件は、好立地物件は店舗系、ホテル系を除いて出し値は変わらず、買主側との目線ギャップが広がっています。購入理由(相続対策や目標値)がある買主がそれでもいいと買っている、売主側に売り急ぐ理由(資金繰り、決算)がある場合を除いては、やや売買が成立しづらくなっています。10人その値段で買う購入者がいた物件が、1人か2人になった、という感覚でしょうか。
◆ 日本の地価の常識とは?
それにしても地価動向の読みにくい世の中です。コロナ前でもこれだけ地価上昇傾向が続くと考えていた不動産関係者は少ないでしょう。
「もう限界だろう」、「これ以上は上がらないだろう。」という声が多く聞かれました。
よく知っている人ほど買えない、が実態だったようにも思います。
想定以上のインバウンド効果、再開発の連続。
「構造問題を抱えているのだから日本の不動産は上がらない」、という「常識」を打破する材料をどこまで信じて良いのか?
今後、コロナ禍が落ち着いたとしても、この「日本の地価の常識」を「打破する材料をどこまで信じて良いのか?」は難しい問題です。
◆ 不動産とは結局何でしょうか?
不動産が必要なのは誰でも同じ。不動産がいらない人はいません。在宅でも自宅が必要です。自分が存在している場所が必要なのは万人共通。
必要なものの種類が変わる、必要な形が変わる、利用方法が変わるということでしょう。
大事なのは、「柔軟性と想像力」。
「想像力は知識よりも大切だ。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む。by アインシュタイン」
想像力とは、社会がどうなるか?自分がどうしたいか?を考えるということだと思っています。そして想像できたものは創造できる、ということも、成功者の間ではよく知られたことです。
不動産の在り方が変わるとコミュニケーションが変わり、コミュニケーションが変わると不動産の在り方が変わる。
不動産はコミュニケーションの場であり、コミュニケーションの形に応じて変化するものです。
それを想像して、創造する。
そこで、現実的には「柔軟性」の出番となります。間取り、用途等のフレキシビリティは、これからの建築物には重要要素になっていくでしょう。
今はやりの設備を単に入れるのではなく、その後その設備が時代遅れとなった場合に、対応できるモノづくりが大事なのではないでしょうか?
「30年経っても社会の変化に対応できる建物か?」この視点を持って、新築やリニューアルに臨みたいものです。
◆ あとがき
ここのところ当たり前のようにオンラインで面談をし、セミナーを行い、飲み会をしています。
でも思い出してみると、子供の頃には、「テレビ電話なんて夢のようなもの」と思っていました。想像はしていても「創造できる」とは思っていませんでした。でも今は当たり前。
そう考えると、我々が今夢のよう、と思っているようなことも20年後には当たり前になっているのでしょうね。日経新聞の社長100人アンケート(9月28日)によると、コロナでコミュニケーションが不足したとの回答が52.4%を占めました。同様の調査で、一般社員向けではこんなに悪くない印象があります。社長には是非想像力を発揮してもらい、より良いコミュニケーションを創造してもらいたいものです。
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